異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。
え……
今、ライムさん……なんて?
「秋人おじさんを……知ってるんですか?」
「ええ、私の家に泊まりましたからね」
ライムおばあちゃんはレヤーに支えられたまま、椅子に腰を下ろす。ふう、と息をついて杖を手に身体を支える。
白髪を後ろで緩く束ね、身体を覆うワンピースと同じ布で頭を覆ってる。年月のぶんだけ年輪を刻んだ肌は、それだけの苦労を感じさせた。
秋人おじさん、とライムおばあちゃんはハッキリ言った。彼が、家に泊まったんだって……。
ついに、秋人おじさんの手掛かりが手に入るんだ。
望みに望んだ時が来たというのに、なんだか現実味がないと感じるのはどうしてなんだろう?
まるで、おとぎ話でも聞くような気持ちになるのは……。
あたしはライムおばあちゃんの前に膝をついて、彼女の手を取ると頭を下げた。
「お願いします。秋人おじさんのことなら、すべてを教えてください。ずっと、ずっと探していたんです」
秋人おじさんが居なくなってから、お母さんやおばさんやあたしも何もしなかったわけじゃない。警察にも届けたし、探偵を雇ったりビラ配りをしたり。時間があれば心当たりをあたってみたりもした。
けど、何一つ手掛かりが得られなかったんだ。
あたしが秋人おじさんを探してたのは、この異世界に来てからだけじゃない。8年前から忘れず、ずっとずっとなんだ。
秋人おじさんを見つけることは、あたしだけじゃない。亡くなったお母さんとおばさんの願いでもあったんだ。