異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。



「秋人おじさんが……ここに」


そっと、額縁のガラス越しに押し花をなぞる。

秋人おじさんは、あたしの作ったお守りを肌身離さず持っててくれた。とても大切にしてくれていたから、どうして泊まっただけで置いていったのかわからない。


「誤解をしないでね。それがここにあるのは、妹が秋人に無理にねだったからで、彼の本意ではないから……ありがとう」


ライムさんはレヤーが沸かしたお湯を受け取り、お茶を淹れはじめた。


「あ、お手伝いします」

「いいわ、あなた達はお客様なんだから」


ライムおばあちゃんはニコッと笑うと、パイのようなものを切り分けてお皿に載せる。レヤーに手伝ってもらって配膳を終えると、こちらへと手招きをした。


「長くなりそうだから、座ってちょうだい。ちょうどお茶の時間だからお菓子もいただきましょう。焼きたてのアップルパイはお好き?」


アップルパイ、と聞いて耳がピコーン! と反応をする。うう……アップルパイ大好きなんですよ。


「お茶もアップルティーよ」

「いただきます!」


0.3秒で反応してしまった……。


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