異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。
第13関門~真実には遠いけれど。



いきなり出された母の話に、理解が追いつかない。


母が作ったものとそっくりなアップルパイと、母がこの村出身という話。どちらも理解するにはショックが大きくて、思考停止状態の頭がうまく回ってくれない。


「おかあさん……の、故郷?」

「ええ」


バカみたいなおうむ返しなのに、ライムおばあちゃんは微笑みを浮かべてそれを肯定した。


「ヒトミは、村の巫女だったの。風を読んだり天気を当てたり……科学万能の国の出身では、世迷いごととか言われるかもしれないけれど。ヒトミは確かにほんものの巫女だったわ」

「……巫女」

「そう。帝国では異端とされる存在だった。だから、ヒトミも周りの皆も気をつけていたのだけど……彼女が15になった日、帝国が彼女を呼び出したの。隣国との戦(いくさ)に利用するために」

「戦……戦争、のためにか?」


それまで黙っていたロゼッタさんが、身体を乗り出してライムおばあちゃんに詰問する。そういえば、彼女の故郷も昔は戦争の影響を受けた……って以前に聞いたことがある。


けど、なぜ母のことが出てくるんだろう? 仮に母がこちらの世界出身だとしても、日本で生まれ育ったあたしにはやっぱりここは異世界で。第一、あたしは秋人おじさんのことを訊ねてる。なのに、どうしてお母さんの話を聞かされるんだろう?

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