異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。






やっと人工的な建物を見つけた瞬間、あたしは安堵の息を吐く。


「はぁあ……やっと着いた」


あれから何日経ったやら。


来る日も来る日も毎日毎日歩いて歩いて歩いて……。


「ずみま゛ぜん……少じだげやずまぜでぐだざい゛……」


もはやよろよろになったレヤーが、今にも死にそうな衰弱した声で言う。あたしは彼の背中から降りて、ポンポンとそこを叩いた。


「うん、ご苦労さま。ここまであたしを運んでくれたんだから、今日はゆっくりと休んで」


あはは、とあたしは笑いながらレヤーを労る。実際あたしはあまり歩く必要がなかった。食料と飲み物がなくなった日、レヤーが時間短縮するためとあたしを背に乗せて走る提案をしてくれたんだ。


あんたが大変だと何度も断ったんだけど、その日は何も食べるものが見つけられなくて仕方なく承知した。あたしが歩くペースが遅いのはわかってたから。

(まあ、あたしは人間としては足が速い方だと思うけど)


で。乗ってみたら、レヤーの速いこと、速いこと。


自動車並みは大げさだけど、自転車よりはスピードが出たんじゃないかと思う。そんなこんなで、ものの数時間で目的の集落の近くに着いたってわけ。


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