異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。



「父親が……わからない? え……ちょっと待ってください。だって……お母さんがあたしを妊娠したのって……恋人がいたとか結婚したからじゃ?」

「少なくとも、恋人はいなかったわ。仲のいい男の子もいたけど、少年のようにさっぱりしたヒトミには、みんな同じ男の子扱いをしていたし。ヒトミ自身も女の子って自覚が皆無な女の子だったから。
だから、どうして身籠ったのか私も不思議で訊いてみたのだけど、ヒトミは頑なに口を閉ざして話してはくれなかったわ」

「……」


父親が……わからない?


お母さんはどうして、あたしの父親のことを隠したの?


不本意な妊娠だったから? なら、どうして。あたしを守るためにたったひとりで日本へ渡ったの?


なんだか、おかしい。お母さん、あなたは何を隠してるの?


その後お母さんのエピソードを幾つか聞いたけど、あまり頭に入らなくて。そのまま就寝時間になった。


< 240 / 877 >

この作品をシェア

pagetop