異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。
「……和、だめだよ。自分の可能性を狭めてはいけない」
秋人おじさんはしがみつくあたしの腕をそっと外すと、その手を包み込んでくれた。ひんやりと冷たいおじさんの手に触れて……そこで、違和感を感じた。
この……手。この指は。
「和、僕は自分から望んでこの世界に来たんだ。だから、帰ることはできない……だが、君を帰すことはできる」
「おじさん……?」
「知った、だろう? 和。ライムさんから聞いたはずだ。僕は本当の叔父ではなく……血が繋がりのない他人なのだと」
秋人おじさんはひどいことを言っているのに、あたしを見る目は変わらない。慈しむ優しい瞳……そう、まるで父親のような。
「ち、違う……」
「もう、いいんだ。和、あかの他人のために、君が苦しむことはない。ヒトミだって悲しむだろう」
「そんなの、違うよ!」
あたしは秋人おじさんの両手を掴むと、思いっきり声を張り上げた。ここにいる秋人おじさんが、“他人”でも構わない。今、話してるのは紛れもない秋人おじさんだ。だから、あたしは彼に訴える。
「血の繋がりなんて、関係ない! あたしにとって、お父さんでお兄ちゃんで……秋人おじさんは大切な人なんだよ! 一緒にいたい。それだけじゃダメなの?」