異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。



バルドが振るってるのが大きくてぶ厚い幅広の長剣なのに、ハルトが手にしてるのは片刃のごく普通の長剣。素人目には不利に見えるけど、大きな剣は十分に振り抜かないと威力が発揮できない。ハルトもわかってるのか、ちょこまか動いてバルドの剣を降りきらせないようにしてた。


たぶん、実力的にはそう差はない。五分五分で斬りあったとしても、実力伯仲で決着は着かないだろうけど。


(ぼ~っと見てる場合じゃない!)


どうにかして、2人の戦いをやめさせないと。ハルトはセイレム王国王子の護衛を任されるほどの実力者だけど、身分もそれなりに高いはず。他国の貴族を斬ったとしたら、いくらバルドが皇太子に近い皇子でもただでは済まされない。


「や、やめて! 2人とも。戦う必要なんてないでしょう!」


思いっきり声を張り上げたけど、2人の耳には届いてない。あたしのことは眼中にないって感じ。


なんか、ムカッときた。


「なごむ!」


さすがに起き出したらしいロゼッタさんが、斧を手にしてあたしに駆け寄ってきた。


「気づくの遅れて、ごめん。大丈夫だった?」

「ごめんね、心配かけて……で。あのバカどもを止めたいから、ロゼッタさんに相談があるんだけど」

「なに?」


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