異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。
で……あたしの方はと言えば。
バルドはあたしが投げたカーテンを切り裂くと、再び剣を構えて振り抜こうとした。
いけない! あのままだとハルトは視界を塞がれて、避けられない。
本当に、反射的なものだった。
屋根から飛び降りたあたしが、バルドの前に立つと直ぐ様反転して短剣を構えたのは。
ぐんぐん迫る大きな剣からハルトを庇うため、彼を背にしバルドに立ち向かう。ギリギリのタイミングを見計らい、横凪ぎの太刀筋を避けながら彼の懐に飛び込む。
威力が凄い剣は、モーションが大きいからタイムラグが生じる。それを狙えば。
一度でも、避けるのは至難の技だった。かわしきれずにかすって腕が切れる。痛みが走るけど、構っていられない。
バルドの懐に飛び込んだあたしは、彼の胸にしっかりとしがみついた。
「バルド、戦わないで! ハルトは秋人おじさんのメッセンジャーになってくれただけだから」
全身で彼を押し留めようと、文字通り身体を張った。