異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。
「利用し合わない関係など、ないだろう」
バルドはあたしを見据えたまま、馬鹿正直にそう答えた。
「だが、オレは一方的で理不尽な関係などにするつもりはない。対等でない関係はいつか破綻する。オレはこいつを利用するが、こいつも好きなようにオレを使えばいい」
そして、バルドは付け加える。
「父上を唆し古代兵器を使おうと目論む愚かな一派がいるのは否定しないが、オレは関わるつもりなど微塵もない。むしろ、民を苦しめるそういった愚者(バカ)を駆逐する為に動いてる」
あくまで己の意思を貫くのだ、とバルドは断言をした。いっそすがすがしいまでに完璧に。
「バルド……」
「おまえは、オレを利用すると言った。だから、好きにオレを使え。遠慮などするな」
「……っ」
バルドがそう言ったなら、きっとその通りなんだ。彼は卑怯な嘘をつかない。だから、あたしは信じられるんだ。
「そ、そんなこと言ったら……思いっきりわがまま言っちゃうよ? それでもいいの?」
「おまえのわがまま程度を受け止められないなら、とうに放り出してる」
バルドはそう耳元で囁くと、そのまま寄せた耳朶にキスを落とす。くすぐったくて身を捩れば、更に彼の拘束が強くなったような気がします。