異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。



「とりあえず、お腹が空いたでしょうからこれを召し上がってください」


レヤーは羽毛からカロリーメ○トと小さな缶ジュースを取り出した。非常食にと取っておいた最後の食料なのに……。


今お腹が空いてるのは確かで、気遣いはありがたいけど、今までで一番体を動かして疲れてるのはレヤーだ。だから、彼を差し置いてあたしだけがお腹を満たす訳にはいかない。


あたしは差し出されたそれらを首を振って押し戻そうとした。


「いいよ、あたしは。レヤーの方がたくさん動いてるじゃん。あたしは断食ダイエットの最中なんだから、邪魔しないでよね~」

「ダイエットってウソ言ってもわかりますよ。さっきお腹が鳴ってましたから」

「あれは、鼻歌だよ! あたしの下手な鼻歌を聞かせてあげたの。感謝しなさいよね」

「リアルツンデレもいいですが、それじゃあ体が持ちませんよ。遠慮せずに召し上がってください」


ほれ、と最後の一本を強引に持たせようとするレヤー。仕方ないな、とあたしは受けとると、そのまま半分に割ってレヤーのクチバシに素早く突っ込んだ。


「なごむはん! なひふるんれふは!」

「何いってんのかわかんないよ~だ!」


へへ~ん、とあたしは悠々と残り半分のカロリー○メイトをかじる。ジュースも半分だけ飲んで、残りは無理矢理レヤーに飲ませた。


やっぱり、独り占めより半分この方が数倍おいしかったかもしれない。


「ぐ……ぐるじいでず……」


渋るレヤーに強引に飲ませたからか、彼の気管(?)にジュースが入り、呼吸困難になりかけたことは気のせいだけど。


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