異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。
とりあえず、並んで休憩。レジャーシートをテントにして休むことにした。
これだけ乾燥した土地なら急な雨の心配はないだろうから、夜に備えて一眠り。レヤーいわく、こういった土地は日没前後や夜の方が活動しやすいかららしいけど。
もちろん、レヤーの魔法のお陰で暑すぎず寒すぎずの快適さ。結界があるから荷物の盗難や急な襲撃にも心配は要らない。レヤーがあたしを守るよう翼でくるんでくれ、安心して目を閉じた。
夢を、見た。
空間いっぱいに輝く光は、星なのかな?
宇宙にも見えるけど、漆黒の暗闇に瞬くものは美しい。見とれていると、ぼんやりと人の姿が見えてきた。
誰だろう? 霧がかかったように曖昧な輪郭で、男性か女性か。年齢も体格もわからない。
滑るように近づいてくる。人間……ううん。生き物なら歩く動作をするけれど、その人は本当に滑ってきた。さながら氷の上にいるように。
ハッと気づけば、あたしはいつの間にか水面の上にいた。その水面が上にある光を反射してキラキラ光る。
あたしは何かを言おうとしたけど、どうしてか声が出せない。そのうちに、その人が何かを言った。
声だったような気もしたし、頭の中に響いた気もする。
ただ。
ただ……なぜか、悲しくて。涙が流れた。