異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。
考えてみれば、まだ16・7の女子高生が異世界にやって来て、たった一人で暮らしていくだけでも大変なのに。王太子妃なんて重い立場を背負わなきゃいけない。
たとえ無理やりでなく両想いから承諾したのだとしても、異世界でひとりぼっちという環境とプレッシャーはきっと相当なものだ。だって、帰れる場所も逃げられる場所もないんだから。
あたしは秋人おじさんが帰してくれる可能性があるけれど。キキさんが話してた、ユズさんは帰れないという事実。きっと彼女は日本で家族を残して、二度と会えないという重い現実も受け入れなきゃいけない。
きっと有力な後ろ楯や頼れる人もほとんどなくて、王太子様の心ひとつしか頼みになるものがない。どれだけ不安定な立場なんだろう。それなら心細くなるし不安にだってなる。そんなの当然だよね。
「まあまあ、あまり頭ごなしに怒らないであげてくださいよ」
あたしはロゼッタさんが用意をしてくれたテーブルを指すと、ニコッと笑った。
「せっかくのいい天気ですし、いいお茶もありますから。ティータイムにしませんか? 美味しいお菓子もありますよ(レヤーのだけど)」