異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。



「ここにはどのくらい滞在するの?」

「ティオンには……あ、ティオンバルト王太子のことね。ティオンには1週間から10日って聞いてるよ。なんか、国同士の新しい条約の締結とかいろいろあるみたいだから」

「へえ……」


それだけの時間があればまた招待して話す機会は取れそうかな。


「それじゃあ、ユズが良ければ時々集まって話さない? もちろん、ユズが良ければだけど」

「え、いいの? って言うか、あたしの方がお願いしたかったんだ」


目に見えてユズが元気になったのがわかって、自然と口元が緩む。自分を飾ろうとしない自然体の彼女は、好感が持てる。それだから、王太子殿下も惹かれたんだろうな……って納得できた。


「ところで、和に折り入って相談がございますが……」

急に声をひそめて顔を寄せてくるから、なにか重大な悩みかとこちらも真剣にならざるを得ない。


「うん、なんでも訊いて」

「なら、お訊ねします。あの……和は皇子様の婚約者なんだよね?」

「は、まあ……ね」


やっぱり憶えてらっしゃいましたか。今更訂正もできなくて曖昧に笑ってごまかしておく。


「でね……あ、あの」


すごく言いにくそうに、もじもじしてる。恥ずかしいことなのか、頬を染めてるから言いにくいことかと辛抱強く待ちました。


「あの……一晩、何回するの?」


「……は?」


今、異国語が聞こえました?


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