異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。
「相変わらずおっちょこちょいね、あんたは」
「えっ」
声音こそ変わってしまっているけれど、その気安いしゃべり方は芹菜そのものだった。
「なに、アタシが年を取っちゃった上に王妃になってるから、って信じられな~い! って顔してる。あんたの考えなんてぜ~んぶ顔に出るんだから、ホント単純単細胞だよね。ちっとも変わらない。ついでに胸も変わらない」
「わ、悪かったわね。ささやかな胸しかなくて。どう呪ってもちっとも変わらないから仕方ないでしょ!」
「呪いって……あんたね。普通は願うでしょ。もうちょいボキャブラリー増やしなさいって」
ポン、と頭を軽く叩かれてハッと我に返る。王妃様――芹菜は、ちょっとだけ年を刻んだ顔でニッと小粋に笑った。
「ほら、あんたはちっとも変わらない。アタシだって姿は変わったけど、気持ちは変わらないつもりだよ」
「芹菜……」
もう、認めるしかなかった。
この懐かしいやり取りと言葉は、他の誰にも真似なんてできないって。
それに、あたしのどこかが感じてた。ここにいるのは親友の芹菜なんだって。
「芹菜……!!」
あたしは思わず彼女に抱きついて、恥も外聞もなくぼろぼろと涙を流した。
「ごめん、ごめんね芹菜。あたしが……あたしのせいで巻き込んで」
「和、いいよ。あんたが謝る必要はないって。確かにこれから起きることに巻き込まれたけど、ここに残る選択をしたのはアタシ自身だから」