異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。
……んで。
なぜに、こうなった?
レヤーに揺り動かされて目を覚ませば、こりゃびっくり! な事態に陥ってました。
なんと! 簡易テントの周りを、灯りを持った人たちがたくさん取り囲んでいたからです。
老若男女……ありとあらゆる年代の人たちが、あたしとレヤーを遠巻きに見てる。一応怖がっているからか、半径3メートルほどから内には近づいてきてない。
髪の色は主に茶色。やや明るめが多いけど、金髪はいないし肌の色は濃いめ。そりゃこんな土地に暮らすなら日に焼けるわな。
身長はたぶん、日本人より高めで当然体格はいいけど、痩せてる人が多いのは食料事情が良くないからだろうな。顔つきは西洋寄り……服は男女関係なく簡易なワンピで、紐で結んでる。足には革のサンダル? みたいな履き物。 装飾品は一切見られない。
あたしとそう変わらない服装にホッとするけれど、だからといって楽観は出来ないわこりゃ。皆一様に警戒心丸出しでこっちを見てるからね。
「レヤー、どうする?」
「ひとまず、私が話してみましょうか? これでも数万の言語が話せますから、似たパターンのものがあるかもしれません」
数万って……その小さな頭にどれだけの情報が入ってるんだ!? と感心していると、右手の方からざわめきが起きた。
おや? とそちらへ目を向けると、一人の壮年男性が歩み寄ってくる。こりゃまた勇気ある人だなあ、と感心してこちらもそれに応えることにした。
「レヤー、結界解いて」
「え、いいんですか? 武器の類いは持ってないみたいですが……」
「いいの。あっちから歩み寄ってくれたなら、ちゃんとその意気に応えなきゃ、大和魂が廃るってもんよ」
「よくわかりませんが……わかりました」