異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。
「…………」
ぶるぶると体が震える。次々と明らかになる事実に、ショックが強すぎて頭がうまく受け入れてくれない。
《ついでだから、言っておく。和、そなたは逃れられぬ。だから、わらわはこちらへ連れてきた。そなたなら乗り越えられると思えばこそ。この、血塗られた縁を断ち切るために》
「……知らない!」
あたしは、反射的に叫んでた。自分の腕を思いっきり掴みながら、ヒスイを睨み付ける。
「あたしが水瀬の巫女だとか、そんなの。好きで生まれたんじゃない! 言ったよね? あたしは何もできないって……。
そんな運命を生まれた時から背負わされて、ハイそうですか。わかりました……って、従えって? バカにしないでよ!
あたしの体も命も人生も、あたし自身のもの。
運命だとか縁だとか知らない!
結局、お母さんもお父さんも……芹菜や秋人おじさんだって、このおかしな運命とやらに巻き込まれた被害者なだけでしょ!
あたしは……そんなの認めたくないし、認めない!!」
バン、と両手でテーブルを叩く。我ながら八つ当たりだと思うけど、荒くなる気持ちを止められない。
「お母さんやお父さんの仇打ちはしたいよ。だけど、あたしにはそんな力はない。勝手に期待しないで! 今まであたしを必要としなかったくせに、水瀬の巫女と判った途端に手のひらを返すって……みんなみんな、身勝手過ぎるよ!!」