異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。



ピンク色のラブラブオーラをまとっていちゃつく2人はともかく、あたしもユズも気まずげな顔をした。


「……えっと……そろそろ解散します? 残りはまた明日でも……」

「そ、そうだね。これじゃあ話にならない……あれ?」


あたしがラブラブな2人から微妙に視線を逸らしながら提案すると、うなずいたユズがきょとんとした顔をする。


おや? と彼女の視線を辿ってみれば。その先にいたのは、美の女神もかくやというほどの美形。スラリとした長身を赤い軍服に包んでいて、肩章や勲章から相当身分の高さを感じさせる。日に輝くプラチナブロンドがサラリと風になびき、深い緑色の瞳が見つめる先はユズで。彼女を目にした途端、彼は極上の笑顔を浮かべた。


「ああ、こんなところにいたんだね、僕の眠り姫。ライベルトが血相を変えて飛んできたけど、無事でよかった」

「ティオン……ご、ごめんなさい心配かけて」


ティオン……とユズが呼んだ彼は、ティオンバルト王太子殿下だった。なるほど、大陸広しと言えど無二のイケメン……なんて範疇に収まらない端正な顔だちだ。と思わずまじまじと観察してしまいました。


けど、それはほどなく逸らさなきゃいけなくなりました。


何がって、そりゃ決まってるでしょう?


新婚ホヤホヤのご夫妻が顔を合わせれば……後は察して下され!


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