異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。
《ナゴム、どうじゃ? わらわに似合うじゃろう》
バン、とドレスルームのドアを遠慮なく開いたのは、実体化してドレスアップしたヒスイ。 彼女は今晩のパーティーであたしの身代わりで巫女として紹介される予定だった。
ヒスイは繊細なレースをあしらったミントグリーンのAラインドレスをまとってる。後ろに結ばれた大きなリボンが幾重にも重なり、ふわふわの羽根のように広がる。
「うん、すごく似合ってるよ。ヒスイが巫女って言われればみんな納得できるんじゃない」
《そうじゃろう。わらわはそなたと違って品があり美しさも備えておるからな。説得力も違う》
くるくると回りドレスの広がりを楽しむヒスイだけど、その口から出るのはやっぱり毒舌でした。
「悪かったわね、美しさも品もなくて」
ぶすくれたあたしは、ミス・フレイルからすぐに注意をされてしまいました。
『ナゴム様。お支度の最中にそのようなお顔をなさらないでくださいまし。髪を結う侍女の手が止まります』
「は……はい」
本格的に髪をアップにする前に、下準備としていろいろ髪をいじられてる。
お風呂だって30分も入ればのぼせるのに、やれ爪の手入れだ肌の手入れだの。洗顔も何もかも徹底的にされ、マッサージやら何やらされて2時間もかかって危うく倒れるかと思いましたよ。