異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。
数時間後、疲労困憊状態のあたしが居ました。
何でドレスアップするだけで、これだけ時間と手間をかけなきゃいけないんでしょう?
短かったボブスタイルの髪の毛は、一部編み込みのハーフアップで緩く巻かれ、ビジューやら花が散らされてます。 髪飾りはリーフをイメージしたシルバー製。
ドレスは裾が後ろに流れるプリンセスラインで、晴れた日の湖のように澄んだ水色。特製のオートクチュールで、微妙に色が異なるレースを使いグラデーションのように見える。胸を強調し過ぎない控えめで、それでいて華やかさを感じさせる素敵なデザイン。袖がまたふわりと広がって、蝶のように舞うから見てて楽しい。
耳にはおおぶりのアクアマリンのイヤリング。胸元にも繊細なデザインのネックレスが飾られて。足元は5センチのハイヒール。胸が……お腹が。パニエやらコルセットやらで苦しいです。
で、一番問題だったのはメイク。一度もまともにしたことがないから、基礎から徹底的にいじられた。うぶ毛そりからまゆ毛を抜いたり形を整えたり。香油を塗り込まれ、これでもかと肌を叩かれた。痛かった……。
で。ファンデーションやらチークやら何やら。まるで仮装ですか? ってくらいこってり塗られるかと思いましたけど。
ミス・フレイルが眉を寄せて、“ナゴム様は肌がおきれいですから。カバーする程度になさい”と言われてホッとしました。
首から上だけ肌の色が違うって、軽くホラーだよね。
それでもあれこれいじられ、何とか出来上がったのが2時間後でしたよ。