異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。
あたしとレヤーは外でご飯をいただいてた。集落の人たちは何だかやたらにフレンドリーで、スープの他に酸っぱい赤い果物までくれた。なんだかすももみたいで、かためだけど懐かしい味がする。
お腹いっぱいとは言わないけど、だいぶ落ち着いた。あたしが息をつくと、あのおじさんが話しかけてきた。
「ミコ、ミコ。○×△」
「みこ? なんのこと??」
聞き取れたのはそれだけで、後半はさっぱりわからない。たぶん、完璧な現地語だろう。
「レヤーわかる?」
「ん~そうですね。水に関係する単語のようですが。ちょっと話してみます」
レヤーが知ってるのに近い単語らしい。彼が話しかけてみると、ぱっとおじさんの顔が輝いた。
「ミカワ出身か訊いてますよ」
「ミカワ……三河のことか。確かに水に関係するわな」
あたしがコクコクと頷けば、意味が通じたのか手を叩いてあからさまに喜んでる。なんじゃそりゃ?
「なんで三河出身で喜ばれるの?」
「ミナセ!」
ミカワに反応したのか、おじさんが叫んだけど。それこそ驚きだった。
「ミナセ……水無瀬って、あたしの養子に入る前の旧姓。なんで知ってるの?」