異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。





たしか国王陛下夫妻は最後に登場するんだっけ、と玉座の設えられた壇上をチラッと見る。


セリス王子に続いて弟のリデル王子がヒスイをエスコートして入場する。セリス王子に向けられていた視線が2人に移り、ホッと胸を撫で下ろした。


(うわぁ……さすがにヒスイ。これだけの視線に晒されても堂々としたものだわ)


招待客はたしか千人程度と聞いてる。 それだけの人数がいると、とてもじゃないけど普通に振る舞えません。


緊張してるあたしと違って、ヒスイはあちこちに微笑み愛想を振り撒くのを忘れない。あの胆の太さをマジでわけて欲しい。


ヒスイの周りの派手さとは対照的に、こちらは静かなものだけど。だからといってまったく注目を浴びないってわけでもなくて。むしろ、本気でこちらを見る人たちの視線が刺さってくる。


主に、貴族のご令嬢やその親御さんらしき年代の方々から。


そりゃそうだ。セリス王子は若いけど、20と立派な成人男性。まだ妃もフィアンセもいないとなれば、狙われるのも当然。

おまけに第一王子という肩書きと、さらさらの銀髪に白い肌と見惚れるような整った顔だち。穏やかな物腰で、とても優しい。これでモテない方がおかしいか。


あ~あ、だから射殺さんばかりの熱光線ビームを浴びせられ続けるのか。


あたしへのは明らかに棘が含まれてる。きっと刃なら今ごろ全身血まみれになってますよ。


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