異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。
空のような青色の髪の毛なんて初めて見た。水色の瞳はさながらアクアマリンのよう。どこか幼さを残す少年めいた顔だち。そんなに背が高く見えないから、身長は170くらいかな。
たぶん、じゃなく。ついさっきあたしのお隣で何かを始めようとしてた男性だ。
「あ、あのう……」
「あんたもしかすると」
あたしが何かを言う前に、その男性はいきなりあたしのスカートをベロンと捲った。
「あ、やっぱり……って!?」
バッチイイイン……と、あたしが頬を叩く音が空に響きましたとさ。
「やっぱり足挫いてるって言いたかっただけなんだけど」
「……だとしても、もっと違うやり方があったと思いますけど。いきなりスカートを捲るのがあなたのやり方なんですか?」
あたしの腫れた足首を冷やすためにハンカチを濡らしてくれたのは、ありがたいと思うし感謝もするけれど。初対面で下着が見えそうなほどスカートを捲り上げるのはどう考えてもあり得ないし、失礼だよね?
見事に腫れた頬を見ないふりをしつつ、見知らぬ男性を睨みつけると。彼はもう一枚のハンカチを渡してきた。ひんやりと冷たい。
よくわからなくてハンカチから男性に視線を移せば、彼はしゃがんだまままぶたをトンとつついてきた。
「目。腫れたままだとマズイんじゃない?」
言われてはっと思い出した。彼が来るまでに散々泣いたことを。あたしは「ありがとう」と小さくお礼を言って、瞼にハンカチを当てる。
まぶたを閉じた瞬間、決して離れない焼き付いた2人の姿が見えて。ポロリと涙が溢れた。