異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。
第19関門~あなたを、護らせてください。
え、このひと何言ってるの?
ルーン王国の王子と名乗った男性を前に、あたしは数秒間呆然としたけど。すぐにポロリと本音が漏れた。
「……あたま、大丈夫?」
「言うに事欠いてそれですかね。こっちは本気で申し込んだんだけど」
カイル王子と名乗ったひとは、やれやれと項垂れて首をふるけどね。
「だって、どう考えたっておかしいでしょう。初対面で、しかも身元も知らない相手にいきなり結婚申し込むって。あたしが……け、結婚してたらどうするの?」
「それ以前の段階でしょ、男の好みに傷ついて泣いてるなんて」
「……」
ポリポリと頭を掻いたカイル王子は、とぼけた顔をして案外鋭い。
「で、でも。あなたさっきの女性は恋人じゃないの? 恋人がいるのに、見知らぬ女に結婚を申し込むなんて不誠実でしょ」
「そう? あの娘は恋人じゃないよ。恋人が浮気したから、当てつけに俺に声をかけてきただけ。俺は来るもの拒まずだからさ。据え膳はちゃっかりいただきますよ」
「……最低」
「よく言われるな~はっはっは」
悪びれもせずに笑って済ませるカイル王子って……。
軽い! 何もかも軽すぎる!!
さっきのプロポーズだって、羽毛より軽くて大した意味はないのかもしれないと気を取り直した。