異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。
セリス王子と同じ……って? いったい何が?
彼が不機嫌そうに見えることと、なにか関係があるの?
『カイル殿下、本気でいらっしゃいますか?』
侍従さんが問い質そうとしているのに、カイルはただセリス王子に目を向けてジッと見てる。
『ああ、本気だよ。俺は真剣に和を正妃にしたいと思ってる。ぐずぐずしてたら、横からかっさらわれるからね』
そうしてカイル王子はあたしに体を向きなおすと、その場で膝を着いてまた胸に手を当てる。
「秋月 和さん、私はあなたを正式に妃にしたい。出逢って1日も経ってはいないが、私の中ではずっと一緒にいた。時間は関係ない、私はあなたが好きです。どうか考えておいてください」
真剣な瞳でそう告白したカイル王子があたしの左手を取って指輪にくちづけると、ぽうっと淡く輝いた。
好きですって……あたしのこと? 妃にしたいって。
本気で、カイル王子はあたしに告白してくれたんだ。
おちゃらけてない真摯な眼差しに、ドキンドキンと胸が高鳴る。他人の前なのにハッキリと告白してくれた誠実さは、たしかに彼が本気なんだって知らしめてきた。
「あ……あの……あ、あたしは」
『まだ、答えは急がなくていい』
スッと立ち上がったカイル王子は、あたしの髪に触れてそれを指ですく。
『俺にも、きっと付け入る隙はあると思ってる。答えは急かさないし、何年だって待てるから』