異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。




「あなたにすれば……たったひとつの告白なんて日常茶飯事で、それほど重みなんてないかもしれません。だけど……あたしは、あたしには生まれて初めてだったんですよ!」


感情が、昂って。抑えようとしても抑えきれない。いろんな感情のうねりが、あたしの理性の殻を破って溢れてくる。


妬み、孤独感、寂しさ、悲しみ、怒り……ごちゃ混ぜになった想いは、セリス王子に向かう言葉になって激しくぶつかる。


「たとえ、本気でなかったとしてもあたしは嬉しかった。一生ないと思っていたから、貰えるはずがない言葉だったから。
異性として見てもらえて……求められて。どれだけ幸せなのか、大切な人がたくさんいるあなたにはわからないでしょう。
あたしには……誰もいない。誰も本当のあたしを求めてない。日本へ帰ったって、待ってくれる人は誰一人いない。
そんな気持ちなんて、あなたにはわからないんでしょうね」


泣くな、と思うのに。感情が制御できないせいで勝手にまぶたの裏が熱くなる。


ジワリと滲む涙のせいで視界が白くぼやける。手のひらでゴシゴシと擦るのを止めたのは、セリス王子だった。

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