異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。
「ですが……あなたが一人の人間なのだと理解したのが、あのヒカリハナムシを観に行った時でした」
「……」
「あなたが親御さんの話をされた時、とても嬉しそうでした。そして……とても悲しそうなのにこちらを心配させまいと振る舞って。その時、初めてあなたがただ一人の普通の少女なのだ、と。きっと無理をして自分を抑えて生きてきたんだと。痛々しく思えたのです」
「そ……そんなこと、ない。あたしは……好き勝手に言い放題で生きてきた」
何だか見透かされそうなセリス王子の瞳が怖くて、うつむきながら言い返したけど。我ながら弱々しい声だった。
「いいえ、あなたは強がっても本当は弱いひとです。自分を無理に励まして突っ張ってみせないと、生きてこられなかったのでしょう……でも」
セリス王子の手があたしの髪に触れ、ゆっくりとゆっくりと撫でる。
言わないで、と。あたしの中で警鐘が鳴る。
聞きたく、ない。
本当なんだって。
疑う隙間もないほどの真実なんだって、認めるしかないから。
「わたくしは、そんなあなただから惹かれました」
「やめて……」
「和……」
「い、言わないで」
「わたくしは……あなただから、秋月 和だから惹かれたんです。他でないあなただから」
セリス王子が、あたしを見る。
疑う余地がない、父と同じ。
――いとおしいひとを見る瞳で。
「和、わたくしはあなたが好きです。どうか生涯、あなたを護らせてください」