異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。
けど、バルドの手は離れない。
「バルド、もう曲が終わったよ? もう、アイカさんのところへいかないと……ッ!」
右手を持っていたバルドの手があたしの顎を掴むと、そのまま持ち上げられて視界が鋭い黄金色に染まる。唇に柔らかいものが触れたと思うと、一度離れた顔が再び強く重なった。
「……っ!」
息が詰まりそうになるほど強引で激しいキスに、酸素不足になった頭がクラクラする。
なんで?
どうして、こんな人が多い場所でバルドがキスするの?
あなたは、アイカさんのパートナーなのに!
どうして、体調が悪い最愛の人を放って。あたしと踊ったりキスするの!?
わかんない……
バルド、あなたがわかんないよ!
「ば、バルド! お願いだからやめて……あなたはアイカさんっ……んぅ」
数秒も離してくれずに、バルドの唇があたしを襲う。周りがいくらざわめいても、彼はあたしの言葉を遮り抵抗を封じて強引なキスを続けた。
「……おまえは、誰のものだ?」
「……っ」
バルドがあたしの耳元でかすれた声で囁き、そのまま耳たぶにキスをすると軽く噛む。
耐えきれなくて体から力が抜け、膝を折るとそのままバルドに体を抱き留められた。