異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。



着ているドレスは胸元が開いてないデザインだから、彼の唇は肌に直接触れてない。


だけど。女性として触れられている、という現実を嫌でも認めさせる彼の行動に、危機感が募っていく。


バルドが強引な行動に出るのも意味が解らないけど、他の王子のことを口にしたのがもっと意味不明だよ。


「他の王子って……どうして? セリス王子とかカイル王子のこと?」


とりあえず思いつく名前を挙げてみただけなのに、バルドの眉がピクッと跳ねてすぐにキスで唇を塞がれた。


息をつぐひまもなく続くキスにクラクラして、酸素不足からか頭がぼうっとしてきた。


その間になんとなく肌がひんやりとするな、なんて考えてて……すぐにのんびりしてたことを後悔する。


いつの間にかドレスの襟ぐりを留めていたリボンが解かれ、下に着てたビスチェが見えてる!


じょ、冗談じゃない。これ以上はダメ! 本当にダメだって。


「ちょ……バルド! だめ、だって。これ以上は……」


今両手は頭の上で片手で押さえられてるのに、彼の腕はピクリとも動かない。両足も動かそうと力を込めてるのに、少し動くだけでがっちりとガードされてる。


「本当に、ダメだって! こんなこと誰も望まないのに」


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