異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。
失礼男……もとい。ハルトはセリス皇子の付き人らしい。護衛として帝都から着いてきたけど、もともとは幼なじみでほぼ同い年。セリス皇子は今20で、ハルトは19。帝都でともに育ったみたい。
現皇帝には三人のお妃様がいて、セリス皇子は第二妃の息子。帝都には第一皇子がいるみたいだけど、病弱であまり公式な場に姿を現さないらしい。
(って言うか……3人も妻がいるって)
けど、本来なら皇后になられるお隣·セイレスティア王国の王女様は離縁されて帰国されたって。そんな生々しい内情を聞かされてもなあ。
今の皇后陛下は第2皇子の生母だけど、第1皇子の生母様を差し置いて立后したらしい。よくわかんないけど、複雑みたいだ。
で。問題はハルト。
何か武門に長けた家の生まれで、代々皇帝に仕えてきたとか……なんだけど。
こいつが、目下のところ一番の悩みの種。
だって……
目の色以外は本当に秋人おじさんにそっくりなんだから。驚くなって言われても無理。
初めて目の当たりにした瞬間、おじさんを思い出して盛大に泣いたっていいはず。それが彼にし、しがみついたとしても……。
その時のハルトからは困惑が伝わってきたけど、なんとなく察してくれたからか、胸にしがみついて泣くあたしの頭をポンポンと叩いてくれた。気がすむまで泣かせてくれたことにも感謝してる。