異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。




「まあ、その話は置いておいて」


ユズは横で何かを置くしぐさをした後、ティーカップをソーサーに置いて、あたしを見た。


「これは極秘事項なんだけど……和なら知らなきゃいけないと思う。だから、話しておくね」

改まったユズの雰囲気に、こちらも自然と背筋が伸びる。


ライベルトが盗聴を防ぐ術をかけていたことと、ユズの招待の本来の目的がこれなんだって悟った。


「和が水瀬の巫女って言うのは聞いた。ディアン帝国の最終兵器についても。たぶん、今回の不可侵条約はその最終兵器の使用を防止する意味があるんだと思う」

「そうなの? って言うか……最終兵器っていったいどんな。どこにあるのか知ってる?」

「それはさすがに知らない。けど、噂では帝都の地下に封印されてるとか聞いたことがあるよ」


あたしも話を聞いてからディアン帝国でいろいろ調べてみたけど、最終兵器については何も情報を得られなかった。そう、不自然なほどにさっぱりと。


もしかすると、検閲で通らず削除されてる? その可能性も捨てきれない。


誰が、何のためにその存在を隠そうとしているんだろう? 知られたら都合が悪いことでもあるのかもしれない。


でも、それはいったい誰が?


書籍やあらゆる情報源を検閲できるなら、相当力のある人でないと無理だよね。


もしかすると、あたしを狙う人と同一人物かそれに近い人?

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