異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。



あたしがそのことを話すと、ユズも腕を組んで考え込んだ。


「それはおかしいよ。セイレスティア王国でもある程度の情報は知られてるのに、肝心のディアン帝国で情報が得られないってのは」

「……だよね」


ユズから見ても不自然な、最終兵器に関しての情報。ディアン帝国では絵本にすら出てこない。情報規制をしている元を辿れば、何かが解るんじゃないかなと思う。


ユズには秋人おじさんやいろんなことを話した。彼女も自分のことを話してくれたから、今では友人とも言える仲になれたと思う。


何もわからない何も知らない異世界で、ユズの親しみやすさや明るい前向きな性格のお陰でずいぶんと助けられたかもしれない。


「和、それを探るのもいいけどそれじゃあかなりの危険を伴うよ。きちんと皇子様に話した上で動いた方がいいって。あたしも考えなしに動いて、ティオンに迷惑をかけたことがあるから」


心当たりがあるのかしみじみした口調のユズに、彼女も結構無茶をしたんだな~なんて。共感してみました。


「最終兵器に関してはあたしも調べるし、なにかあれば手伝うから。表向きの政治は殿方に任せて、あたしたちでもやれることはやろうよ」

「あ、ありがとう」


正直、皇子の偽の婚約者なんて不安定な立場のあたしだと何もできないも同然だけど。王太子妃であるユズの協力が得られるなら、こんな心強いことはない。あたしは思わずユズの両手をガシッと握りしめた。


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