異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。
「……って、悲しい傷の舐めあいはともかく。和、女の子なら恋ばなでしょ! コ・イ・バ・ナ!」
「はぁ? あたし、特に提供できるような話題はございませんが」
気のせいじゃなく、ユズの目が爛々と輝いて鼻の穴が若干膨らんでる。どれだけ興奮なさってるんですか!?
「またまた~照れなくていいって!」
ぶわち~ん! とユズに背中を叩かれたけど、ものすごく痛いんですが。どれだけ力を込めたのあなたは!?
「聞いたよ! セリス王子とカイル王子にプロポーズされて、嫉妬したバルド皇子に美味しく頂かれちゃったって。いや~モ・テ・モ・テ・ですなあ」
どっかの中年上司並みにニヤニヤしながら、ユズはとんでもない爆弾発言をかましてくれましたよ。
「……は?」
一瞬、何を言われたかわからないというより、頭が理解を拒んでた。
「ね、ね? やっぱりバルド皇子が本命でしょ? 何たって婚約者なんだし、ずっと和を見守ってるし。和もまんざらじゃないんでしょ?」
「……って、ちょっと待って!」
まだあること無いこと喋りそうな勢いのユズの口へ、無理やりマフィンを突っ込んでお喋りをやめさせた。
「……あの、な……なんで知ってるの!? あの場にいた人でペラペラ喋る人なんていなかったのに」