異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。





「皆さま、彼女を責めないでください。わ、わたくしが悪いのです。先触れもなしにお邪魔したら、失礼とお怒りになるのも当たり前ですわ」


小さな肩を震わせながらしゃくりあげるアイカさんを、取り巻いた貴族連中が次々と慰めはじめた。


「アイカさん……」

「なんとお優しい。どこぞの胸の小さな心の狭い女とは違いますな」

「アイカさん、あなたは何も悪くはありません。先触れなどなくとも、あなたが姿を現しただけで、その清楚で愛らしく美しい姿に皆感嘆し、魅入られましょう。感謝こそすれ、迷惑に思う方がおかしいのです」

「そうです。聖女のごときあなたがなさることに、何の間違いがありましょうか」


うげ、と砂を吐きたくなった。なに、この信者めいた盲目ぶりは。彼女が正しくて、彼女が絶対で、彼女はつま先ほども悪くないって。どれだけ絶対視してるんですか。


……ってか、今どさくさ紛れにあたしの胸を貶したやつ! 表に出ろ!!


「ティオンバルト王太子殿下とセリス王子殿下の許可をいただいても、先触れを出してユズ王太子妃殿下のご都合を伺うのは当たり前だと思いますが? それとも、ご自分でしたら何を許されるとでも?」


こうなったら、とあたしは意地悪な継母の役を演じることに決めた。嫌われ上等! 当たり前のことを注意したり、叱りつけられなくてどうするの?


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