異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。



いくらバルドの愛してる人だろうが、彼女はディアン帝国国民であり。公爵夫人の肩書きもある。そんな人が他国を蔑ろにしていいはずがない。


国同士の関係と言うものは人間と同じで、信頼関係を築くのはとても難しい。まして、いち個人の行いでそれまでの信頼を一気に失うのは簡単だ。それこそ、いともあっさりと崩壊する。


だから、あたしはアイカさんの行動に目くじらを立てなきゃいけない。バルドのためにも、彼女のためにも。進んで憎まれ役になろう。


「ことに、あなたの周りに控えてらっしゃる諸兄の方々。他国の賓客をおもてなしするのも大切でしょうが、本来のお仕事は終わってらっしゃいますか?
もしもお仕事を放ったままでしたら、すぐにお戻りされることをおすすめします。一人でも抜けた穴というのは思ったより大きいのですよ」


あたしはアルバイトで散々経験したことがあるから、実感を持って言えた。


たかがラーメン店のアルバイト、かもしれないけど。そのチェーン店の殺人級の忙しさや、人手不足は経験しないとわからない。


それに。

秋人おじさんやお母さんやおばさんが欠けた穴は……何があっても埋まらない。


「お願いします。あなた方はきちんとすべき役割や義務を果たしてください。ハルバード公爵夫人も、この方々へきちんと注意をすべきです。他国の公人ならなおさら、滞在先の事情は考慮すべきです」


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