異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。
秋人おじさんが……。
自ら、100年前に現れた?
「ハルト……それ、ほんと……うっ!」
痛みが激しくなって、まるで焼きごてを当てられたような熱く重い痛みが走る。
「しゃべるな! そのままじっとしてろ。あいつを倒したら……オレが」
ハルトはバルドに向かって剣を構える。見たことがない型だから、たぶんオリジナルかセイレム王国独自のもの。
みなぎる緊張感にただ大人しく痛みに耐えるしかない。素人のあたしが口を挟める雰囲気じゃなかった。
ただ、どうしてか左の手首が暖かい。じんわりと熱を持った何かが、肌を通じて体を巡る。
そのおかげか、少しずつ痛みが薄くなる気がした。
「あいつを倒したら……オレが」
再び、ハルトがあたしに何かをに言うけど。呟くような小さな声が耳に届いた。
「オレが、契約者に名乗ってやる。――おまえを護るために」
ハルトはかすれた声でそう呟いた後、ダン! と勢いよく大地を蹴った。