異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。
「あれは……セリスが勝手にしたことで、あなたを責めるつもりは微塵もない。だが……セリナの悲しみようは見るに耐えないのだ……セリナが……この世界に初めて受け入れられたと感じたのがセリスを生んだ時。だから、なおのこといとおしく可愛がっておった……だからだろうか。セリナはこの1週間ろくに食べず、眠らずにいて……遂に倒れてしまったのだ」
「セリナが……倒れたんですか!?」
「セリスを失った悲しみのあまりに、な」
「……!」
息が、詰まる。そんな重大なことを、なぜあたしは忘れていたの!?
「ごめんなさい……」
一度こぼれ落ちた言葉は、堰を切って勢いを増していく。
「ごめんなさい……ごめんなさい! ごめんなさい!! あたしのせいで……ごめんなさい!!」
ぶわりとたくさんの涙があふれてきて、ひたすら頭を下げるしかできない。そんなあたしに、ハロルド国王陛下は優しく声をかけて下さった。
「いい、あなたは悪くない。セリスが亡くなったのはあなたのせいでは」
「でも……でも! あたしがいなければセリス王子は」
「そうではない。きっとセリスもあなたを護れて本望だった……だが」
ハロルド国王陛下は一度言葉を切ると、僅かに躊躇いを見せる。けれど、それを振り切った顔をあたしに向けた。
「私とて、あの子の親だ。息子が先に亡くなるなど耐えられない。だから……あなたにただ一つ頼みたいことがある」
「頼み……?」
国王陛下は声なく頷き、決定的な提案をしてきた。
「あなたの、水瀬の巫女としての力を使って欲しい」
「水瀬の……」
「……死者の蘇生。どうか、セリスを生き返らせてやって欲しい」