異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。
「ううう……ひどいですよぅ。モテなくなったらどうするんですか~」
しくしくと泣くレヤーは、翼で抱えてる頭の羽毛が一部消えてる。つまり……ハゲた。あたしが抜いたから。
「あんたが素直に教えてくれないからでしょう」
あたしは汗だくな上に肩で息をしながら、掴んだレヤーのクチバシを引っ張る。
「いただだだだ! 抜ける、折れる!!」
「抜けても折れてもまた生える!」
「意味がわかりません! クチバシは抜けたらさすがに……いだだっ!!」
ヒイヒイと涙目になったレヤーは、ようやく両翼を挙げた降参のポーズを取ってくれた。いびり続けて苦節1時間……今回はかなり手強かったわ。
「で……? 何であたしの行動を制限されてんの?」
「和さんが力を使ったからですよう」
もう勘弁してください! と涙目で正座をしたまま、両翼で頭を抱えてぶるぶると震えるレヤー。
なんか……イジメ、もとい。いじり倒したくなるのを我慢しながら、更なる質問をしてみた。
「力って……あたし、巫女の力を使えないんじゃ?」
「別の力ですよ」
レヤーは羽毛からごそごそと布に包まれたものを取り出す。
「それは?」
「和さんに預けられていたものです。危険ですから、私がお預かりしていました」
「危険?」
受け取ろうと手を伸ばすけど、レヤーはヒョイと翼で持ち上げて渡してくれない。
「これの正体は今のところ不明ですが、あなたの生命を吸い力を振るうモノです。治療の妨げになりますから、私が一時的に封印を施して隔離させました」