異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。
レヤーの言う通りに深呼吸を繰り返しているうちに、だんだんと痛みが和らいできた。体調もゆっくり戻り、楽になったのは数分くらい後。
いつもは薬を飲んでも全然よくならないのに、あっという間に回復して驚いた。
「あ、ありがとう。すごく助かったけど……なんで? 薬も効かないのに」
「変ですね」
レヤーはあたしの頭に翼を置いて難しい顔をする。
「変って、なにが?」
「和さんが頭痛を感じた途端、あなたの周りを赤とも黒とも見える霧が覆いました。ふつうの人間には見えないでしょうが、まぁ私だから見えたんでしょうね」
レヤーはポンポンと軽く頭を叩いてもう大丈夫ですよ、とあたしに笑いかけた。
「何らかの闇の術をかけられた可能性がありますが、私が浄化しておきましたから。これで大丈夫なはずです」
「え、もういいの?」
あまりにあっさりと解決したから拍子抜けした。もっと時間が掛かったり難しいと思ってたんだけど。
「はい。私にはごく単純な術でしたから。あまり高難易度なものは無理ですが、【闇】とは何度も戦った経験がありますから」
胸を張ったレヤーはそういえば何万年も生きてるんだっけ。あまりに情けないからすぐ忘れるけど。