異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。






ハルトの話では水晶宮殿はほぼ半壊状態だったので、今は後部にある内宮殿を中心に宮廷が営まれているとのこと。あの夜襲いかかってきた敵はほぼ全滅し、洗脳された人たちも八割亡くなったとのことだった。


首都は5割ほど市街地が破壊されたものの、被害者はさほどなく復旧作業が始まっている。


不幸中の幸いと言うかわからないけれど、レヤーはあの通りぴんぴんしてて。ロゼッタさんはかなり回復してきてるという。

拐われていた国王陛下とセリナは、カイル王子とティオンバルト殿下とユズとバルドの活躍で救出できたらしい。


重傷を負ったリデル王子はようやく昏睡から目覚め、緩やかに回復しているという。


ハルトの同行を条件に、セリナへのお見舞いが実現した。


目が覚めてからずっと会わせてくださいと頼んでたけど、体調不良を理由にずっと断り続けられていた。


――なんて。そんな建前の理由を頭から信じるほどおめでたい頭はしていない。


セリナは……セリナだって、息子を失って悲しんでるはずだ。恨まれたっておかしくない。


異世界へやって来て初めてこの世界で受け入れられたのがセリス王子の誕生。どれだけ愛して慈しみ育てただろう。王妃としての義務を果たせた上に、最愛のひととの初めての子ども。生きる希望だったし精神的な支えになってたはず。


それを突然――謝って許されることじゃない。殺されたって文句は言えないんだ。


もしかすると顔も見たくないと面会すら拒まれる覚悟はしていた。けれど、何とか許可をいただいてホッと胸を撫で下ろす。


せめて……謝らせて欲しい。ただの自己満足で受け入れられなくても、せめてそれだけは。

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