異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。
そこまで懇願されたら、断れる訳がない。
あたしはなるべく冷静になるように努めながら、あの日あった出来事を話した。無論、こちらの秘密までを暴く訳にはいかなかったけれど。淡々と事実のみを述べていく。
そしてあたしがリデル王子を助けたことでか、セリナはありがとうと呟いた。
「やはり、リデルを助けてくれたのは和さんだったのね。お礼を言わせてちょうだい……ありがとう」
「いえ……」
リデル王子を助けたかったせいで無謀な単独行動を取り、結果的にセリス王子を危険に陥らせた。バルドの言う通りだ。感情的に動いて大した役にも立たないと。
「きっとリデルを放って置けなかったあなただからこそ、セリスは命を賭けて助けたのね」
「いいえ……わたしの浅はかさが」
「あまり、ご自分を貶めないで。あなたを助けたセリスをも貶めることになりますよ?」
セリナの諌める声で、ハッと気付いた。そうだった……セリス王子も生きていれば、きっとピシャリとそう言うだろう。
やっぱりこんなところが親子なんだなあ……と妙に実感できた。
「セリス王子も、きっと同じようにおっしゃったでしょうね」
あたしが何気なくそう話せば、そうね、とセリナも顔をほころばせる。
「あの子は小さな頃はしょっちゅう熱を出しては寝込んでいたけれど。正義感が強くて、よく空回りしていたものね」