異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。
「ひゃああ、落ちるうぅ!」
ぎゃあぎゃあうるさくて、申し訳ありません! ですが、自動車並みのスピードで、剥き出しの座席に座るんですよ!? しかも、かなりの高低差を二本の脚でジャンプしたりと、相当なスリル。何度落ちると思ったか。あたしには無理無理ですって!
必死にしがみつきながらも、囲われてるセリス皇子にクスッと笑われてしまいました。
「そんなに怖がらなくても、落ちませんよ。落下防止のガードがしっかりと保護してますから」
えっ、と恐々と顔を上げれば、確かにあたし達の周りを薄ぼんやりと霧状のものが包んでる。銀色の光の粒子は、触れると柔らかいけど。しっかりしてて人の重さは楽に受け止められそうな頑丈さがあった。
「わっ、すごい……なにこれ!?どうなってるの??」
「とある特殊な粒子を限定的な範囲で発生させているんです。事故防止や襲撃の際のガードにもなる機能なんですよ」
「へえ……ホントにすごいや!これが日本でも実現したら、交通事故なんかもなくなるのにな……」
あたしを引き取ってくれたおばさんが亡くなった原因が、交通事故だった。秋人おじさんとともに、あたしを可愛がってくれた春風(はるか)おばさん。よく化学展なんかにも連れていってくれたっけ。
あたしが好奇心旺盛になったのは、間違いなく秋人おじさんと春風おばさんの影響だ。だから、不思議なことがあるとついつい夢中になってしまうけど。今はもういない2人を思い出すとしんみりして気分が沈んでいった。