異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。
「余裕だな」
「え……?」
バルドの黄金色の瞳が間近に見えて、ハッと現実に返る。
彼の髪はセイレム王国に来てから大概きちんとセットされていたけど、今は多少乱れて前髪が目にかかってる。男性特有の色気に、ドキンと心臓が跳ねた。
「考え事などしている余裕があるなら、まだ大丈夫そうだな」
「だ、大丈夫じゃないっ……んぅ」
彼の手が頬に添えられて、そっとキスをされるけど。優しかったのは最初だけで、入り込んだ舌がイタズラな動きをする。
それに合わせたように指が肌を滑り、あちこちに熱を与えられる。
もう、どれくらいバルドに翻弄され続けてきたんだろう。宣言通りに何も考えられなくなるほど、彼に支配され続けてた。
「オレだけを、見ろ」
バルドは涙目のあたしの顎を掴むと、まっすぐな瞳で射抜いてくる。
「なにも、考えるな。オレだけを見てオレだけを感じればいい」
そう低くささやきながら、バルドはあたしの手を取って自分の胸に導く。
そして、彼の意外な事実に目を見張った。