異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。
「……っ!」
芹菜から聞いて覚悟はしていたけど、予想以上の痛みを感じた。
だけど……
だけど。
どうして、だろう?
熱くて痛くて苦しみを感じるくらいなのに、温かい感情がじわりと胸を満たすのは。
やっと……バルドを受け入れられた。
大好きなひとと、ひとつになれた。
たとえ契約のためでも、バルドはあたしを離さないと言ってくれたんだ。
「ば、バルド……ッ」
滲んだ視界の向こうでも、彼の黄金色に輝く瞳がすぐそばにあるって解ったんだ。
バルドはあたしの額にキスを落とすと、髪の毛に指を入れて優しくすいてくれる。動くこともなく、顔にたくさんのキスをくれて、なだめるように撫でてくれた。
「辛いなら、オレの首に掴まれ」
「ううん……だい、じょうぶ……それより、バルドはつらくない?」
本当は、身体が刺された時と同じくらいの痛みを感じてる。でも、バルドは平気なのかな? あたしは何もかも任せっきりで、退屈してないかな?
「無理……しないで? 好きなようにしていいよ。あたしにできることがあれば……言って」
痛みをこらえながら、なんとか笑ってみせたけど。どうしてか、バルドは呆れたように息を吐いた。
「……おまえ、わざとか? そうやって煽るのは」
「え?」