異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。



なにか、気に障るようなことを言ったかな? 一生懸命思いだそうとしたところで、彼の唇の端が持ち上がった。


「これからたくさん思い知らせてやる。覚悟はしてるな?」

「か、覚悟って……っ!」


意味がわからないままに彼を見上げると、何だか意地悪な笑みなのは気のせいでしょうか?


「散々焦らせた罰だ。離れられぬようにオレを刻みつけてやる」


なんだかすごいことを告げられているんだろうけど、ハッキリ言えば意味がわからない。傷をつけるってこと?


「い、今……傷は……ちょっと」


たぶん、あたしが全然わかってなかったせい。バルドはククッと喉を鳴らして笑い、人の悪い笑みを作る。全然、甘さはないけど、不思議とそれが彼らしいと言えた。


「ああ、ある意味傷だが……これからよくなる」

「そ……そう?」


バルドに好きなようにしてと告げた以上、彼に委ねるのが一番かもしれない。


「もう、苦しくないか?」

「ん……」


バルドのキスが再び落ちてきて、あたしは頷いた。彼は「動くぞ」と呟いて、ゆっくりとあたしを翻弄し始めた。


「……!」


少しずつだけど、動きが強くなる。受けとめるのに精一杯で、気がつけば必死に彼にしがみついてた。


バルドが身体を密着させてキスを落とす。自分でも信じられない声が出て、彼の激流に翻弄されながらも――すべてを受けとめた。


何もかもが真っ白になって、ゆっくりと意識が落ちていく。


バルドがなにかを囁いた気がしたけど、意味を理解する前に彼のぬくもりを感じながら意識を手放した。



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