異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。
「えっと……」
あたしは、なんてコメントして良いのかわからなかった。
そりゃあ確かに、アイカさんの回りには常に男性がいた。しかも、高貴な身分の人が大半で。
信者とも表現できる盲信ぶりに、若干……いや、かなりドン引きしたのは否定しない。
何があっても絶対に彼女が正しい、として邪魔になったものは徹底的に排除しそうな勢いだった。
いくら魅力的でも、一人の女性があそこまで大勢の異性を虜に出来るものかな?
いくらなんでも不自然だし、無理がありすぎる。
(いや……あたし自身が全然モテない僻みからじゃないぞ! うん、うらやましいぜ! こんチクショ~なんてお下品な捨て台詞を吐きたかったとかはない!……はず)
「ね、ねえ。アイカさんのモテっぷりはすごいけど……その……」
アイカさんがちやほやされる話はあまりしたくない。今バルドがアイカさんを想ってなかったとしても、幼なじみとしてつらいかもしれないし。
だけど、バルドはあたしを後ろから抱きしめたまま、気にするなと囁いた。
「オレはアイカが初恋だったのは否定しない。だが、3つの何も知らないガキの頃だ。あいつは十になると、どんな貴族の女よりあざとくしたたかになってた。その頃に熱は冷めていたのだから、おまえがあの女を気遣う必要などない」