異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。
本当に、怖かった。
今までのバルドの言葉を疑うわけじゃないけど、こんなことを言えば図々しいとか呆れられないかな……って。
彼がどんな答えを出すか怖くて、心臓がバクンバクンと鳴る。震えるな、と思うのに身体が小さく震えて仕方がなかった。
「まったく……おまえは」
バルドが出したのは、完璧に呆れた声音だった。
やっぱり、厚かましいお願いをしちゃったんだなあ……って、悲しくてギュッと目をつぶる。泣くな、泣くな! 笑顔で解ったって言うんだから……未練がましくないように。
「う、うん……わかってるよ。やっぱりあたしも図々しいって思う。だってあたしはただの女子高生だし……平民だし、異世界の人間だし。日本へ帰らなきゃいけないの、わかってる! うん、ごめんなさい……ちょ、ちょっと言ってみたかっただけだから、本気にしないで。ね!」
なるべく明るく、重くならないように言えたかな? さほど重要視してないみたいに、軽く聞こえればいい。
バルドの負担になりたくない……だから。
だけど、なぜかバルドはあたしのお腹を掴むと、くるりと身体の向きを変えさせる。
ベッドの上でバルドと相対する形になって、驚いたというより困惑が勝ってた。
「あ……あの……?」
「おまえは……どこまで鈍いんだ?」
「え?」
バルドは、たしかに呆れた顔をしてたけど。それは仕方ないよなあ……って、何だか苦笑に近いもの。
「オレの言葉を信じてはいないだろう?」