異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。



執着……。


バルドが、あたしに?


「えっ……と、なんで? あたしが水瀬の巫女だから、だよね。それ以外の理由なんて……」

《バルド、たっちじゃ。この最強の愚鈍さには、わらわも手が負えぬ》

「ああ」


ヒスイはベッドから浮かぶと、ふよふよと飛んで独りでに開いたドアから出ていく……前に。
こちらを振り返って、奇妙なことを口走った。


《安心せい。何重もの防御のと遮音の結界を張ってやった。これでよそへ音は届かず、邪魔する者も入れぬぞ》

「わかった。協力に感謝する」


バルドが珍しくお礼を言えば、ヒスイは半目で《よい。せいぜい励め》と答えて部屋から出ていく。


「あれ? ヒスイはどこへいったの……んぅ」


いきなり、です。バルドがあたしの顎を掴んでキスをしてきたのは。


え? 何で? もう契約は終えたのになぜキスをする必要があるの??


たぶん、あたしはきょとんとした顔になってたと思う。バルドはあたしを離すと、吐息を感じらる距離で目を合わせた。


「言ったはずだ、ずっとおまえが欲しかったと」

「それは……あたしが巫女だからで……」

「そうじゃない」


バルドはあたしの身体を包んでいた毛布を、そのまま乱暴に剥ぎ取ろうとする。びっくりしながらも、死守しようと抵抗をした。


だって……毛布の下、裸なんですけど!


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