異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。
「大丈夫ですよ。私もちゃんと着いていきますから」
シレッとした顔で儀式の場に顔を出したのは、巨鳥のレヤー。彼は天上界に詳しいらしいから、ガイド役を引き受けてくれた。
「これでもたくさんの御上や神と知り合いです。よくお世話になった大神(たいしん)がいらっしゃいますので、何かあったら頼りましょう」
《ほう、そなたに頼れる大神がおわしたとは意外じゃの》
ヒスイが例の半目で見るからか、レヤーは肩を怒らせてプリプリ怒った。
「な、何ですかその目は。思いっきり半信半疑じゃないですか~わ、私だって大神に親しくさせていただいてますよ」
《ほう、ちなみにどの大神じゃ?》
「極光明徳大神(きょっこうみょうとくたいしん)ですよ!」
レヤーがその名前を出した途端、ピキッとヒスイが固まった。
「あれ、ヒスイどしたの?」
指先でつんつんとつついてみると、心なしかひんやりとして固い……じゃなくて。マジで凍ってる!?
ヒスイ、フリーズしたんですかい!
「その……きょっ……なんとかさんって、えらいの?」
ヒスイが凍りついた理由を知ろうとレヤーに訊いてみると、彼は腰に翼を当て胸を反らした。
「もちろん! 大神の中では特別な地位の太陽神でいらっしゃいますから。最高神に限りなく近い存在ですよ」
レヤーのクチバシの鼻の穴が広がってるのは、もしかすると自慢げだから?
……ってか。
「ちょ、太陽神って。なんかめちゃくちゃすごい存」
《嘘じゃろ! レヤーが太陽神と知り合いなぞ! すべてが間違っておる!!》
ムンク状態のヒスイの悲痛な叫びが、どこまでも響いていきましたとさ。