異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。



《ぎゃああっ、流れる! 流される!!》


2人(?)に着いて行こうとしたんだけど、そういえば自分が浮いてるのを忘れてた。

で。歩いてみようと足を出したつもりが、突然風が吹いて吹き飛ばされそうになりましたけど。


まるっきり木の葉か何かみたいに、ひらひらと飛ばされかけて。しかも吸引力がスゴい掃除機みたく、全身が後ろに引っ張られる。急いでレヤーが戻ってクチバシで掴んでくれなきゃどうなってた事やら。


《言い忘れたが、道を誤ればどの世界へ飛ばされるか解らぬゆえに気をつけよ》

《は、早く言いなさいよ! 迷いかけたじゃないのさ》


たぶん、今のが“道”を誤ったということだろうけど。相変わらずヒスイは底意地が悪くて、必要なことをちゃんと伝えてくれない。


《気をつけていれば済む話じゃろ。第一、無事であったのだから問題ない。これからはちゃんと気をつけるのじゃな》


まるっきり、あたしの不注意が原因と言わんばかり。くああ! と肩を怒らせブルブル震えていると、レヤーがおろおろしながらあたしへ提案してきた。


《あ、あのう……和さん、よければ私の背中に乗ってください。私ならば“道”を外すことはありませんので》

《……そっか。じゃあ、お願いしようかな》


レヤーの申し出は正直ありがたい。ヒスイと絡むと精神をすり減らすし、レヤーの背中に乗るのは久しぶりだから何だか懐かしい。


レヤーのお言葉に甘えて腰を落ち着けた後、しばらく進んだ先で視界が開けてきた。


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