異世界で帝国の皇子に出会ったら、トラブルに巻き込まれました。



《うわぁ……!》


思わず声が上がる。


だって、そこは摩訶不思議ですごく綺麗な世界だった。


七色に輝く雲があちこちに浮かび、黄金色に輝く海がどこまでも広がっていて。いろんな見たことがない生き物が空を闊歩してる。虹の橋はあちこちに架かっていて、その間を宝石のように光輝くドーム状の何かが浮かんでた。


暑くもなく寒くもないちょうどいい気温。風薫る5月のようなサラリとした風が頬を撫でていく。


《うわぁ、なにこれ!? これが天上界?》

《そうですよ。ほんのごく一部ではありますが、あの宝石みたいなものが一つ一つの“界”で、言わば世界のようなものです。ここから見れば小さく見えますが、実際には和さんの住む宇宙と同じ規模の世界があるんですよ。そこを統括するのが、界におわします大神ですね》

《へえ……あれ一つ一つに世界が……》


不思議な気分だった。すると、あたしの住んでた宇宙もこの中にあるのかな? って疑問が浮かぶ。


《ねえ、あたしのいた宇宙ってあるの?》

《いえ、たぶんここにはありませんね》


ちょっと残念に思いながらレヤーが目指す先を見ると、空に高々とそびえる高い山に向かっているみたいだった。


《あれは?》

《あれは、“命”を司る山です。善の死者は輪廻転生の来世を決める審判をあちらで受けるのですよ》


善……


つまり、閻魔王様みたいなものか。


セリス王子が地獄行きのはずはないから、きっとあちらにいるよね。


そう思ったんだけど……。


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